1990年代半ば、プレイヤーを“物語の世界”へ深く没入させるタイトルが数多く生まれたセガサターン。
その中でもアドベンチャーゲームは、尖った企画性や濃密なテキストなど、
当時としては異例の表現手法によって、いまなお語り継がれる名作が揃っています。
グラフィックこそレトロにはなったものの、物語の構成力やキャラクターの魅力、
プレイヤーの心を揺さぶるドラマ性は、現代のゲームとも互角以上。
むしろ“今だからこそ味わえる味”として再評価が進んでいます。
本記事では、そんなセガサターン時代を象徴する
心に残る名作・良作アドベンチャーゲーム
を厳選してご紹介します。
ストーリー重視の人、当時遊んだ作品を懐かしみたい人、新しく名作を掘り起こしたい人にもオススメのラインナップです。
それぞれの魅力や見どころを、当時の空気感とともに紹介していきます。
セガサターンソフト 名作アドベンチャーゲーム10選
Dの食卓

1995/7/28
アクレイムジャパン
鬼才、飯野賢治氏が監督、脚本、音楽を手掛けた、ホラーアドベンチャーゲーム。
元々は3DOで発売された作品で、後にセガサターンやプレステなど、様々なゲーム機に移殖。

インタラクティブシネマと言われるように、映画のような演出が大きな特徴です。
ストーリーは、凶変した父親の精神世界から2時間以内に脱出する内容で、
様々なトラップや謎を解いて、脱出を目指します。
PS版は「ファミ通」の「クロスレビュー」でも、ゴールド殿堂を獲得。
全世界で100万本も売れた大ヒット作。
今見ると画像は荒いですが、当時はスゲー!っと驚いたものです。
MYST

1994/11/22
サンソフト
セガサターン初期に発売された、高難易度な謎解きアドベンチャーゲーム。
元々はアメリカのブローダーバンド社が開発したPC用ゲームで、
セガサターン版はサンソフトが移植しています。

MYSTと書かれた本の中を探索する内容で、敵などは登場しませんが、どこか恐怖を感じる内容。
洋ゲーらしく難易度は高めで、最後までクリアできた人は少ないかもしれませんね。
後に続編なども発売され海外では知名度は高いですが、日本ではそこまで有名ではないでしょう。
真説・夢見館 扉の奥に誰かが・・・

1994/12/2
セガ
メガCDで人気だった夢見館の続編。
ポリゴンで描かれた人物や、当時の人気声優さんによるボイスなど、グラフィックや演出面がパワーアップ。
また、会話中に感情ボタンで進めるなど、他にはない面白いシステムも。
しかし、ストーリーのボリュームも少なく、謎解きと呼べるような
仕掛けも無く、
全体的に未完成とも呼べるような内容には、当時から賛否あったそうです。

本作単体で見れば、そこまで悪くは無いのでしょうが、
前作のような内容を期待してしまうと、ちょっとガッカリするかも。
残念ながら、前作のような高評価は得られませんでした。
まぁ名作とはいかないまでも、佳作と言った感じでしょうか。
好きな人もいると思いますので、一応紹介しておきました。
学校の怪談

1995/7/14
セガ
同名映画を題材とした、ホラーアドベンチャーゲーム。
旧校舎に閉じ込められた5人の子供たちが脱出する為に、学校の七不思議を解明していきます。
ムービーでは映画がそのまま流れるなど、ファンには嬉しい内容。

しかし、基本的には一本道のお話で、ゲーム性も少ないです。
映画ファンにはいいかもしれませんが、それ以外の人には微妙かも。
子供には丁度いいかもしれませんが、大人にはちょっと物足りないかもしれませんね。
学校のコワイうわさ 花子さんが来た!!

1995/8/11
カプコン
同名児童文学とアニメを題材としたホラーアドベンチャーゲーム。
学校の階段でお馴染み、トイレの花子さんと共に霊界とこの世を結ぶ門を封印する事が目的。
夜の学校に行き、7つの鏡の破片を集めるためにミニゲームなどをクリアしていきます。
夜中の学校は大人でも怖いのに、よく子供だけで行きますよね^^;

ちなみに、本作は逆転裁判でお馴染みの巧 舟(たくみ しゅう)氏が、カプコンに入社してから初めて手掛けた作品でもあります。
児童書や絵本などのような可愛らしい絵柄で、小さいお子様で楽しめるはず。
ワンチャイコネクション

1994/11/22
セガ
セガサターン初期に発売された、実写の推理アドベンチャーゲーム。
タイトルのワンチャイ(湾仔)とは、香港の中心的な都市の名前。
まだ香港がイギリス領というのも、時代を感じますね。
香港を舞台に、殺人事件を解いて行くストーリー。
豪華俳優陣や実写映像、ムービーなど、次世代機の凄さを見せつけた作品で、
セガサターンスゲー!っと思った子も多かったはず。

但し、肝心の主役とヒロインの演技には、当時から疑問の声もw
ストーリーに関しては、けっこう高評価の意見もあります。
今遊ぶと、逆に新鮮かもしれませんね。
好みは分かれるかもしれませんが、推理アドベンチャー好きは試してみても良いかも。
エネミー・ゼロ

1996/12/13
ワープ
Dの食卓で一躍有名となった飯野賢治氏が脚本、監督を務めたSFホラーアドベンチャーゲーム。
本作もDの食卓同様、映画のような演出のインタラクティブムービー
となります。
音だけを頼りに“見えない敵”から逃げる、サターンでも屈指のサバイバルホラー。
限られた空間で、得体の知れない謎の生物から逃げるのは、映画のエイリアンを彷彿とさせますね。

プレイヤーを追い詰める緊張感は、今遊んでも唯一無二。
重厚なストーリーは、シリアスながらも引き込まれ、主人公の運命を最後まで見届けたくなる力があります。
セーブロードにも限りがある為、難易度は高め。
アドベンチャーとホラーの中間にある独特の体験は、SFホラー好きの方なら試してみる価値は十分ありますよ。
EVE burst error イヴ・バーストエラー

1997/1/24
イマジニア
私立探偵の天城小次郎と天才エージェントの法条まりな、2人が主人のアドベンチャーゲーム。
元はシーズウェアが製作したアダルトPCゲーム。
セガサターン移植版もPC版ほどではありませんがお色気要素がある為、18歳以上推奨となっています。

二人の主人公を切り替えながら進める、マルチサイトシステムが特徴で、
全く接点のない二人が、謎を解いて行くうちに一つの大きな事件へと導かれていきます。
テンポの良い会話とサスペンスらしい緊張感がハマります。
物語の引きが強く、一度始めると止まらない没入感。
実力派声優を起用し、ほとんどのセリフに音声がつきキャラの魅力も満載。
“セガサターンでADVを語るならまずはコレ”と言える鉄板タイトルです。
現在はFANZA GAMESでも復刻しており、最近ではswitchでも、EVE burst error Rとして復刻しています。
【FANZA GAMES ダウンロード版はこちら】
この世の果てで恋を唄う少女YU-NO

1997/12/4
エルフ
並列世界を舞台とした、個性的なアドベンチャーゲーム。
思春期の冒険、家族の絆、そして時間を超える愛の物語。
本作も元はPC用の18禁アダルトゲームで、その完成度の高さから、後に様々なゲーム機に移殖。
セガサターン版は性描写が控えめになってますが、推奨年齢は18歳以上。

並列に存在するいくつもの世界を渡り歩き、自らに隠された謎を解き明かしていきます。
オート分岐マッピング・システム(A.D.M.S)を採用しており、
プレイヤーの行動そのものが、世界線に大きな影響を与えます。
最後までプレイした時の“胸を締めつける余韻”は、アドベンチャーゲームというジャンルの枠を超えた感動として語り継がれています。
金田一少年の事件簿 星見島 悲しみの復讐劇

1998/1/15
ハドソン
人気推理漫画、金田一少年を題材とした推理アドベンチャーゲーム。
当時、金田一少年の推理アドベンチャーゲームは色々出ていましたが、
その中でも本作が特に異色なのは、プレイヤーが犯人ということ。
金田一少年を欺きながら、目的を達成する個性的な内容。
丁寧に作り込まれた推理パート、張り巡らされた伏線、
そしてタイトル通りの“復讐劇”が重く心に残ります。

アニメ調のキャラ表現と、サターンらしい音作りがよく合い、作品全体に漂う不穏な空気が秀逸。
単なるキャラゲーではなく、しっかり推理させてくれる、ADVとして完成度の高い一作です。
選択ミスで、即バッドエンドになることも多々あります。
しかし、グッドエンド=復讐達成ということもあり、後味が悪いという意見も。
ちょっと好みが分かれそうですが、金田一少年が好きな方は十分楽しめるはず。
クロス探偵物語 もつれた7つのラビリンス

1998/6/25
ワークジャム
探偵事務所に弟子入りした主人公が、7つの事件を追いかける本格推理アドベンチャーゲーム。
“アニメを見るように楽しめるミステリーADV”として人気を得た名作。
主人公・黒須の軽妙なキャラ性と不可解な事件が絶妙にマッチし、
7つの事件が一本の筋でつながるストーリー構成が魅力です。
キャラ立ちが良く、見せ場も多く、テンポも抜群。
依頼によっては、サウンドノベルや3Dマップ探索などもあり単調にならずに楽しめます。
ライトに遊べるのに本格推理としても成立している、サターン推理アドベンチャーゲームの中でも“最も遊びやすい名作”の1つです。
セガサターン後期作品だけに知名度はあまり高くはありませんが、今遊んでも十分楽しめる作品。
スナッチャー

1996/3/29
コナミ
メタルギアなどでお馴染み、小島監督のサイバーパンクアドベンチャー。
映画「ブレードランナー」の系譜を感じさせる世界観と、
主人公ギリアンの泥臭いハードボイルドな物語は、今遊んでも色褪せない魅力があります。
元々はPC用ゲームとして発売され、その後、MSX、PCエンジン、
そして、プレステやセガサターンへと移植。

セガサターン版は、基本的な内容やPCエンジン版と同じですが、新たにCGムービーなどが追加されています。
セガサターン版も悪くはありませんが、ファンの間ではやはりPCエンジン版の方が評価は高いようですね。
しかし、ストーリーは同じで非常に面白いので、サイバーパンクな世界がな好きな方は、是非一度試してみて下さい。
“映画を観るように読むゲーム”の到達点のひとつで、小島作品の原点としても必見です。
最近では、PCエンジンミニでも復刻しています。
ポリスノーツ

1996/9/13
コナミ
こちらも小島監督が手掛けた、SFハードボイルド・アドベンチャーゲーム。
“SF刑事ドラマ”としての完成度が極めて高い作品です。
21世紀のスペースコロニーを舞台に繰り広げられる話で、
映画「リーサルウェポン」のようなコンビが、巨大組織の悪事を暴いていきます。

宇宙移住をテーマにした背景設定はリアリティがあり、独自の用語や科学描写も丁寧に作られています。
本作も元はPC用ゲームで、後に3DO、プレステ、セガサターンへと
移植されています。
相変わらず脚本が抜群に面白く、真相に迫るにつれドキドキしたことを覚えています。
バーチャガンに対応した射撃や間違い探しなど、ミニゲームも色々あります。

演出・カメラワーク・セリフ回しのどれもが映画的で、物語にのめり込む臨場感はサターンのADVでも随一。
本作も名作と呼び声の高い作品なので、未プレイの方には是非一度プレイしてもらいたいですね。
野々村病院の人々

1996/4/26
エルフ
マルチシナリオ・マルチエンディング方式の、推理アドベンチャーゲーム。
自称天才私立探偵の海原琢磨呂が、病院で起きた事件を解決していきます。
こちらも元はPCで人気だったアダルトゲームで、一部では当時からかなり話題でした。
一見するとB級サスペンスのようですが、実際はしっかり“謎解き”と“事件の構造”が作られています。

病院という閉鎖空間で起こる不穏な出来事、人間関係のドロッとした部分を描いた物語が独特で、妙な雰囲気がクセになります。
登場する人物も、みなそれぞれ個性があった面白いです。
サターン版は演出強化で遊びやすく、ライトミステリとして楽しめる“味のある名作”です。
PC18禁版やリメイク版などは、現在FANZA GAMESでも配信されています。
【FANZA GAMESダウンロード版はコチラ】
RAMPO

1995/2/24
セガ
江戸川乱歩生誕100周年を記念して製作された同名映画の推理アドベンチャーゲーム。
江戸川乱歩を主人公とし、映画の俳優さんがそれぞれ同じ役を演じます。
ゲームはマルチエンディングとなっており、映画とはまた違ったストーリーが楽しめます。

豪華俳優陣など、今みるとスゴイ顔ぶれですね。
大人の恋愛など、けっこうドロドロした話も。
ボリュームはそこまで多くはありませんが、推理アドベンチャーとしても普通に楽しめます。
こういう実写系のアドベンチャーゲーム、今出ても面白そうですよね。
ゆみみみっくす REMIX

1995/7/28
ゲームアーツ
メガCDで人気だった、ゆみみみっくすの完全移植作品。
漫画家の竹本泉氏が脚本・設定などを務めた作品で、
滑らかなアニメーションと暖かい絵柄が大きな特徴。
メガCDでは容量の都合上入れることが出来なかったキャラの復活や、
音響の作り直しなど、より完全版となっています。

選ぶ選択肢によってストーリーが分岐するマルチストーリー、マルチエンディングでやり応えもあります。
また、おまけの、ゆみみぱずるも遊べます。
ファンには嬉しい移植だったでしょう。

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